音楽。日常。ビール。2

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7/14(金)米津玄師 2017 LIVE /RESCUE@東京国際フォーラムA

個人的に待望であった米津くんのホール公演。

どんな粋な演出で楽しませてくれるのかなと胸を膨らませて待ったこの日。

 

序盤はライブでも耳に馴染んできた『ナンバーナイン』、『フローライト』に『メランコリーキッチン』。

『フローライト』の米津君と中ちゃんのギターの掛合い(?)が私は大好きなんだけど、いつもより中ちゃんギターが圧倒的にキレキレで、「中ちゃん…?じゃない…?」と動揺しながら聴いてしまった。ホールの音響のせい?

とにかくかっこよくて、早くも泣きそうに。

 

その次の『あたしはゆうれい』は背景に檸檬色をババンと。ビビッドな檸檬色。

これがシンプルにとても良かった。曲に集中。ノるのがちとむずかしいけども。

 

そして『翡翠の狼』。寂しい気持ちを軽快に歌う曲はやっぱり最高なんだよね。他のミュージシャンでもそう。淡いブルーの照明を浴びながら雄たけびをあげる米津くん、良かったな。

自分の後方にいた男の子(と思われる)が合いの手のように指笛を数度、ちょうど良いタイミングで吹いていたことが曲の世界をさらに引き立てていた。

 

その後まもなく始まった『Black Sheep』。前回の演出でも特に良いと思ったけれど、今回もこの曲はさらに良くて、グッときて涙が止まらなくなった。無機質な黒系の背景に、いつもより感情的にかき鳴らすかのような中ちゃんのギター。ライブで聴けて本当に嬉しい。無機質な曲のはずなのに、血の巡りが感じられるところにどうしようなく美しさを感じる。

 

それから「新曲をやる」と宣誓した後始まった『砂の惑星』。映像は南方研究所作だそう。ニコニコ動画に上げられたものとは色(?)が違うみたい。

CM(?)で聴けるちょびっとのサイズ以上に、フルで聴いたらすごく楽しい曲だった。

マイナー調であっても、リズム感が絶妙でとにかく踊りたくなる。若干けだるい米津くんのボーカルも曲の雰囲気に似合っていた。

 

『orion』は背景?に星空のような演出、最後のサビあたりでミラーボールが回転。キラキラした部分以上に、スカイツリーを意識したと思われる背景の高いポールのようなものに私は心奪われた。きっとアニメの影響よね。

そしてこの曲、初めてライブで聴いたはずなのに、何度も聴いたことがあるよう感じが強くて不思議な感覚だった。

次に演奏した『ゆめくいしょうじょ』。お馴染みの『沙上の夢喰い少女』の新解釈ver.とでも言えばいいのかな。もはや全然別物だけど。以前は映像なしで演奏していたけれど、今回は加藤隆さんによる映像あり。映像のスクリーン(?)がメンバーの前に出ていたため、演奏している四人の姿は一切確認できず。映像からは母性をとても感じられて、私の感じていた『沙上の夢喰い少女』の持つ儚さ、孤独への救い、みたいなものはなかったな。まだまだ馴染むには時間がかかりそう。アコギ一本に米津君の声だけという、特別な空間を望んだのは欲張りだったのかも。

 

MCで少し煽っての『ゴーゴー幽霊船』から『ドーナツホール』。ホールでも関係なく盛り上がる。

それから『アイネクライネ』。何度も何度もこの曲を聴いてるけれど、『アイネクライネ』の照明は一貫している気がする(他は知らん)。ピンク系メインで、サビ前から青やら黄色やらいろんな色が現れる。音響の良いフォーラムで聴けて嬉しかった。静まり返る何千人の空間も心地よくて好き。

 

『LOSER』では今回米津くんは踊らなかったけれど、それでも楽しかった。リズム感が本当に素晴らしい。

『love』では、『ゆめくい~』と同じく加藤隆さんによる映像。ステージ後方に映るスクリーンをわざと上下で若干ずらしていたようで、どこを見たらいいのか少し目のやり場に困った。動植物の命が脈打つようなアニメーションだったんだけど、前回(昨年冬)の演出とは全く違っていて印象がガラッと変わった。

前回が、美しくありながらも少し寂しくて、その寂しい、もの悲しい中にある静かな愛を歌ってる曲だと解釈してたもんだから、スケールが何十倍にも広がったことにびっくりしてしまった。手のひらサイズの箱庭を眺めているつもりだったのが、地球規模だったか…みたいな。

そして畳みかけるように演奏した『fogbound』『春雷』という二曲の新曲。前者はかな落ち着いた曲で、クールかつダークな曲。映像はHQさん(?)によるもので、青系の、やっぱりクールなもの、と思いきや、途中でスペイシーなよくわからんものに変わっていった。頭で情報処理がとても追いつかず。

後者はこれまたリズム感が最高な曲(特にドラム!)で、こちらもHQさんによるものだったんだけど、こちらは曲にピッタリだなと一度観た(聴いた)だけでしっくりきた。

使ってる色は派手だけど、曲(というより音の並び方?)に対する映像のシンクロ具合が気持ちよいと感じた。邦楽であまり聴かない、というか、なんだか洋楽のような音作り、映像だなとも思ったところ。感覚的なのでうまいこと説明できないけれど、海外からも評価高そうだなという印象。

新曲で本編を終えるというのも斬新で、今の米津君のモードを映している気がした。

 

本編終わってアンコールでは『アンビリーバーズ』『Neighbourhood』の二曲を。

一昨年フェスで観て冷や冷やしたことが信じられないくらい逞しくなった『アンビリーバーズ』はホールでもかっこよく響いてた。声、良く出てたね。

『Neighbourhood』は、曲の前(『アンビリーバーズ』前かな?)にMCで語った、地元が田舎であることの憂鬱、そこから飛び出すのも悪くないよという話、隣で今日もギターを弾く中ちゃん、という、このへんの事実がさらに私の気持ちを高ぶらせて泣けてきた。

改めて、人前に出てミュージシャンとしてこれからも東京でずっとやっていくことの決意を米津君に見せつけられた気がした。

そして…正直なことを言うと、技術的に、中ちゃんだとギターはどうなんだろう、フォーラムって、音響のとても優れたホールだよ?!と、冷静(冷酷?)に考えることもあったんだけど、今回ライブを観ることが出来て、米津君の隣でギターを弾くのは中ちゃん以外に在り得ないんだなと痛感した。彼じゃないとだめなんですね。穏やかな気持ちで末永く見守りたい。

 

●セットリスト●

01 ナンバーナイン

02 フローライト

03 メランコリーキッチン

04 あたしはゆうれい

05 翡翠の狼

06 Black Sheep

07 砂の惑星(新曲)

08 orion

09 ゆめくいしょうじょ

10 ゴーゴー幽霊船

11 駄菓子屋商売

12 ドーナツホール

13 アイネクライネ

14 LOSER

15 ピースサイン

16 love

17 fogbound(新曲)

18 春雷(新曲)

En

01 アンビリーバーズ

02 Neighbourhood

 

演出は非常に凝っていて、楽しませようという気概がたっぷり感じられた。

自分の聴覚・視覚的相性は別にしても、今までやってきたことを自ら壊して別のものを再構築しようとする精神は前向きで本当に素敵だなと思った。

ただ、米津君の成長(というと上から目線すぎて違和感が酷い)が客の耳の早さを遥かに上回ってる気がする。今後が楽しみで仕方ないのは本音なんだけど、それと同時に、自分の速度が米津君の速度にいつか追いつけなくなるんじゃないかという不安が出てきたことも本音。ずっと同じ距離、同じ熱量で、変化をいとわない人・ものを追いかけるのはそんなに簡単なことじゃない。

とんでもない怪物を追いかけてしまったもんだなー。